開催中の展覧会
「顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで」
中園孔二《無題》2014年 個人蔵_ⒸKoji Nakazono, Nakazono Family Courtesy of Tomio Koyama Gallery
非合理的で直接的な経験が表現者にとってかけがえのないモチベーションとなり得ることは確かです。
それはある種の宗教的な体験に似ていますが、宗教以前のものであり、宗教のもととなる出来事とも解釈できます。
表現者たちは、訪れたヴィジョンをたよりに、自己を超えた名状し難い「何か」を捉えるべく身を焦がす思いで制作します。
「何か」へのあこがれや思慕は、漠とした信仰心の発露ともいえます。 しかし、描けば描くほど、作れば作るほど、その「何か」は、表現者の手からすり抜け別のものとなり替わってしまいます。そのため、彼らは向こうから「何か」がやってくるのを待つしかありません。本展ではこのような心情を仮に「顕神の夢」と名付けてみました。
ときとして土俗的な印象を与える作品が出来(しゅったい)しますが、それは、近代化により捨象されず根強く残った心情の証しです。このような作品は既存の尺度では、測りえないものです。かといって、排除するわけにはいきません。現に作品は凄まじい力をもって迫ってきます。ならば、私たちは、作品にふさわしい尺度を学び、鍛えなければなりません。尺度がそぐえば作品は豊かな世界を開示してくれます。また、このような観点から、いわゆるモダニズムの文脈でのみ解釈されていた作品を読み直すことも可能です。優れた作品はすべからく不可知の領域に根ざしていると思われます。
本展は、今までモダニズムの尺度により零れ落ち、また、十分に評価されなかった作品に光をあてます。また、すでに評価が定まった近代の作品や、批評の機会を待つ現代の作品を、新たな、いわば「霊性の尺度」でもって測りなおすことにより、それらがもつ豊かな力を再発見、再認識する試みです。
それはある種の宗教的な体験に似ていますが、宗教以前のものであり、宗教のもととなる出来事とも解釈できます。
表現者たちは、訪れたヴィジョンをたよりに、自己を超えた名状し難い「何か」を捉えるべく身を焦がす思いで制作します。
「何か」へのあこがれや思慕は、漠とした信仰心の発露ともいえます。 しかし、描けば描くほど、作れば作るほど、その「何か」は、表現者の手からすり抜け別のものとなり替わってしまいます。そのため、彼らは向こうから「何か」がやってくるのを待つしかありません。本展ではこのような心情を仮に「顕神の夢」と名付けてみました。
ときとして土俗的な印象を与える作品が出来(しゅったい)しますが、それは、近代化により捨象されず根強く残った心情の証しです。このような作品は既存の尺度では、測りえないものです。かといって、排除するわけにはいきません。現に作品は凄まじい力をもって迫ってきます。ならば、私たちは、作品にふさわしい尺度を学び、鍛えなければなりません。尺度がそぐえば作品は豊かな世界を開示してくれます。また、このような観点から、いわゆるモダニズムの文脈でのみ解釈されていた作品を読み直すことも可能です。優れた作品はすべからく不可知の領域に根ざしていると思われます。
本展は、今までモダニズムの尺度により零れ落ち、また、十分に評価されなかった作品に光をあてます。また、すでに評価が定まった近代の作品や、批評の機会を待つ現代の作品を、新たな、いわば「霊性の尺度」でもって測りなおすことにより、それらがもつ豊かな力を再発見、再認識する試みです。
みどころ
●日本近代の名品から現代美術まで幅広く展示
江戸時代の円空の作品から新進気鋭の若手作家まで、幅広い年代の約50名の表現者の作品が一堂に会します。日本近代の名作と現代美術が時代を超えて同じ会場に展示されるのは、「人間を超越した『何か』を感知し表現すること」をテーマとする本展ならではの特徴です。●「人間を超越した『何か』」との関係性を軸とした展示
展覧会場は全5章構成で、「人間を超越した『何か』」と表現者との関係性を軸に展開していきます。第1章では、『何か』に憑りつかれて、つまり神懸りによって生まれた作品を展示します。第2章では、常人では感じえない『何か』を幻視する作家を紹介します。第3章で展示されるのは、夢に現れるイメージのように、『何か』からの刺激によって網膜を介さずに現れる光を留めた作品です。第4章では『何か』の姿を模った作品を、第5章では別次元の視点によって『何か』をこの世界にもたらす作品を紹介します。●日本美術史を編み直す新たな視点
本展は、西洋的な美術史観とは別角度から、美術を捉えなおそうとする試みでもあります。モダニズムに通底する一神教的な価値観とは異なる、多様な『何か』によってもたらされた「霊性の尺度」によって新旧の作品を読み直していくことを目指します。※本展では写真・動画撮影不可となります。
展示構成
1.見神者たち
2.幻視の画家たち
3.内向的光を求めて
4.神・仏・魔を描く
5.越境者たち
出品作家(生没年順)
円空、出口なお、出口王仁三郎、藤井達吉、萬鉄五郎、秦テルヲ、髙島野十郎、牧島如鳩、古賀春江、河野通勢、村山槐多、宮沢賢治、橋本平八、岡本天明、長安右衛門、関根正二、岡本太郎、高橋忠彌、三輪田俊助、金井南龍、佐藤溪、横尾龍彦、草間彌生、平野杏子、
若林奮、八島正明、横尾忠則、芥川麟太郎、馬場まり子、藤山ハン、石野守一、齋藤隆、真島直子、内田あぐり、黒川弘毅、舟越直木、
宮川隆、OJUN、藤白 尊、赤木仁、上田葉介、三輪洸旗、黒須信雄、橋本 倫、佐々木誠、石塚雅子、三宅一樹、吉原航平、庄司朝美、
中園孔二、花沢忍 ※生年順、生年が同じ場合は没年順、生年が同じ、かつ存命中は五十音順
主な作品
会期
2023年04月29日 (土)-2023年06月25日 (日)開催概要
会 期: | 2023年4月29日(土・祝)~2023年6年25日(日) |
開館時間: | 9:30-17:00(入館16:30まで) |
休 館 日: | 月曜日(5月1日を除く)、5月9日(火) |
観 覧 料: | 一般1,000(800)円、高・大学生・65歳以上800(640)円、中学生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金 |
主 催: | 川崎市岡本太郎美術館、顕神の夢展実行委員会 |
助 成: | 一般財団法人地域創造 |
監 修: | 鎌田東二(京都大学名誉教授) |
同時開催: | 「岡本太郎と太陽の鳥」会期4月20日(木)~7月2日(日) |
※会期中展示替えがあります。(前期:4月29日~5月28日 後期:5月30日~6月25日)
「顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで」PR映像
■「顕神の夢」展出品作家 リレートーク(全12回)
企画展「顕神の夢」開幕前日の4月28日に、会場内で出品作家によるリレートークを開催しました。
映像はこちら(Youtube)
関連イベント
●「顕神の夢」展開幕記念鼎談
展覧会監修者と本展提案者2名が「顕神の夢」について熱く語り合います。※このイベントは終了しました
日 時:4月29日(土・祝) 14:00~
登壇者:鎌田東二(京都大学名誉教授、展覧会監修者)
江尻潔 (足利市立美術館次長)
土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長)
会 場:岡本太郎美術館 ガイダンスホール
定 員:40名程度(当日先着順)
料 金:無料(要観覧料)
●表現者に出会う1日 ―画家・花沢忍編―
顕神の夢展出品作家の画家・花沢忍氏と交流ができるイベントです。※こちらのイベントは終了しました。
第1部 作家ギャラリートーク
花沢忍氏に、本展に出品されているご自身の作品と「顕神の夢」というテーマについて、展示室内でお話しいただきます。
日時:5月21日(日)11:00-11:30
会場:岡本太郎美術館 企画展示室
料金:無料(要観覧料)
申込:不要。開始5分前に企画展示室入口にお集まりください。
第2部 ワークショップ「自分再発見!」
自分の好きな言葉や詩、歌を元に絵を描きます。完成した絵をみんなで鑑賞し、それぞれの心の中を旅するワークショップです。
日時:5月21日(日)13:00-15:30
講師:花沢忍(画家)
対象:小学校3年生以上~大人
定員:10名
集合場所:エントランス
料金:500円+観覧料
申込:電話受付(5/2(火)10:00から受付開始)、先着順
※ワークショップ当日までに、自分の好きな言葉や詩、歌を探してきてください。
表現者に出会う1日―画家花沢忍編―ちらし(JPG形式・567KB)
●表現者に出会う1日 ―彫刻家・三宅一樹編―
顕神の夢展出品作家の彫刻家・三宅一樹氏と交流ができるイベントです。第1部 作家ギャラリートーク
※こちらのイベントは当初開催予定が荒天により中止となり、三宅氏には6月17日(土)14:00~の担当学芸員によるギャラリートークにゲストとして
参加いただきます。
第2部 ワークショップ「ベラボーな自然に挑む!」
※こちらのイベントは6/3開催予定でしたが、荒天により中止となりましたため日時を変更して参加者を再募集いたします。
生田緑地内を散策し、ベラボーな方法でスケッチを楽しみます。
自然のベラボーさを体感するワークショップです。
日時(再募集):6月17日(土)10:00-12:30
講師:三宅一樹(彫刻家)
対象:小学校4年生以上~大人
定員:15名
集合場所:ガイダンスホール
料金:800円+観覧料
申込:電話受付(6/10(水)10:00から受付開始)、先着順
持ち物:自由帳(クロッキー帳など)、使い慣れた筆記用具、屋外用の簡易椅子
もしくはレジャーシート、雨具(雨天時)
画像:三宅一樹《root1(上九沢八坂神社御神欅)》(2011年)photo: Satoshi Nagare
表現者に出会う1日―彫刻家三宅一樹編―ちらし(JPG形式・353KB)
●担当学芸員によるギャラリートーク
学芸員が展覧会のみどころや作品についてわかりやすく解説します。
日時:5月27日(土)、6月17日(土)両日とも14:00~
会場:岡本太郎美術館 企画展示室
料金:無料(要観覧料)
申込:不要。開始5分前に企画展示室入口にお集まりください。
※6月17日(土)の回には、ゲストとして三宅一樹氏(顕神の夢展出品作家) にご参加いただきます。