2003年展覧会

知覚スル装置―粟野ユミト・藤阪新吾

会期 2003年2月27日~4月13日


カタログ 展覧会の様子
若々しい感性で制作を続ける作家に焦点を当てたシリーズの第3弾。コーティングされた角砂糖を屋外に配置し、雨露で融け崩れる過程を見せる《閾(シキ)》で第2回岡本太郎記念現代芸術大賞準大賞を受賞した粟野ユミト、学習机の上に置かれた水槽の中で子どもたちがうつろな表情を浮かべている《よいこの学習》で同じく準大賞(第3回)を受賞した藤阪新吾の二人を取り上げた。普段気づくことのない距離、空間、時間を知覚させる粟野、日常よく使う言葉と現実との隠されたズレを示す藤阪、本展ではこの二人の受賞作から新作までを紹介した。

カタログ 展覧会の様子

「知覚スル装置―粟野ユミト・藤阪新吾」併催企画展
第6回岡本太郎記念現代芸術大賞 展

会期 2003年2月27日~4月13日


風の模型 北代省三と実験工房

会期 2003年4月26日~7月6日


カタログ 展覧会の様子
1950年代、前衛運動のさかんな時期に”インターメディア”な活動を行ったグループ「実験工房」。その活動の初期にメンバーの中核的な役割を担ったのが北代省三であった。高等工業学校の機械科出身の北代は、49年に第一回読売アンデパンダン展で脚光を浴び、バレエ公演の舞台美術などを手がけた後、51年に山口勝弘、武満徹らと実験工房を結成。その後次第に関心を写真へと変え、商業写真の世界に身を転じた。日本万国博覧会での撮影をきっかけに、高度経済成長と過剰な消費社会を憂い、美術や写真から慎重に身を遠ざける時期が続いたが、80年代に入って北代の作品への再評価が始まると、89年には30年以上の時を経て再び絵画を発表し、木工を使ったオブジェ制作にも熱を入れた。本展では、絵画やモビールのほか、実験的な試みが数多くみられる北代の写真の仕事に初めてスポットをあてるとともに、彼の「遊び」の世界も紹介した。

ことばがひらく 岡本太郎

会期 2003年7月19日~9月23日


カタログ 展覧会の様子
絵画や彫刻などの造形作品とともに岡本太郎の多面的な芸術活動の核であった文筆活動の内容は、芸術論をはじめとして文化論、伝統論など多岐にわたり、今もなお人々に読み継がれている。その多彩な著作は、岡本太郎が単に絵描きや造形家という枠に限定されることなく、芸術を民族、社会、文化という関連性の中で捉えることの出来る思想家であり、そこに自らの人生を賭けた実践家であったことを示している。本展では、パリ時代から戦後にかけての絵画、彫刻の代表作品、モニュメントの原型や国内外のフィールドワーク写真などに、著作から切り取った岡本太郎自身のことばを重ねながら紹介した。

第35回舞踏批評家協会賞受賞
肉体のシュルレアリスム 舞踏家 土方巽抄 展

会期 2003年10月11日~2004年1月12日


カタログ 展覧会の様子
今日では伝説的な存在となった舞踏家土方巽。彼の舞踏に一貫していることは、肉体を既知のものではなく、得体の知れない物体として捉えることであった。その点で土方の舞踏は日常に非日常を闖入させるシュルレアリスムの原理に通底しているといえる。土方が弟子たちに踊りを振付ける際にとったのも、絵画のイメージを言葉に置き換え、それにあわせて踊り手を様々な物体に変容させていくシュルレアリスム的といえる手法であった。この点から今回は、土方の舞踏を写真や舞台美術その他の資料によって展観するだけでなく、振付けのための言葉や複製画を集めた土方自身の舞踏ノートと、弟子達が土方の言葉や振付を書き込んだ舞踏譜などをもとに土方の舞踏創造の核心に迫った。さらに、そうした土方の創造の中心であり、本人や弟子達の稽古場であった当時のアスベスト館の床を象徴的に再現し、そこでの舞踏の公開レッスンやパフォーマンスなどを通して多少でも現在の舞踏を発信する場として役立てばと考えた。本展が彼の舞踏に対するある一つの実験的なアプローチの機会になることを願い、舞踏家土方巽「抄」とした。